車中二泊の弾丸スキーツアー、高速料金4千円分(客一人あたり100円)を浮かすために、山道を深夜に走っていたら事故ってしまったというニュースをみて、昔を思い出した。

 一人一万数千円の料金でスキー場へのツアーとなると、バス運行会社へのシビアなコスト削減を、ツアー企画会社も要求するだろうから、原価割れギリギリでの受注をバス会社はしていることになる。

 だから、65歳の爺さんまで借り出して運転手をさせて ってことになったわけだ。

安全は金で買える時代に、何をやってんだか… という教訓になったと思う。

その昔、大学の職員を中心としたスキーツアーが毎年開催されていた。

 一言で言えば、スキーツアーという名の見合い系のイベントだ。バブルが弾けつつあったとはいえ、時代は、とにかくイケイケの勢いがあった。

 「男が少ないので、オマエも来ないか?」と友人からの誘いがあった。 車中二泊三日なのに参加費は1万円と格安だったのに飛びついた。研修生の給料が手取り7万円でバイト無しという当時の厳しい生活の中で、スキーに格安で連れて行ってもらえるのは、うれしいことだったから。

夜十時出発、夜中走って、翌朝早朝にスキー場に着くというパターン。

 最初に、運転手兼車掌だというお兄ちゃんが挨拶をしていたのが、今でも記憶に残っている。

「毎度、○×交通をご利用いただき感謝してます。我が社、選りすぐりのベテランの運転手2名と車掌兼運転手の私たちが、安全第一で送り迎えをさせていただきます。」というかんじだった。バス一台あたり、運転手3人体制って、ずいぶん贅沢な人材配置だな〜と思ったのを今でも覚えている。

 そういや、乗っている面々が、○○ばっかだもんなと(笑)。万が一の事故が起きたら、一人当たりの補償額は、その人の生涯年収の何割っていう計算になるから、西日本最大手の交通会社でもヘタすりゃ潰れるわ、と納得したわけで。

 スキー場のある山の上にあがると、途中から雪になる。夜明けの雪の中、チェーン装着ゾーンでバスを止め、チェーンを付けるために、運転手3人が格闘していたのを、バスの窓から覗いてみていた。

 無事、スキー場について、あとは、見合い系スキーイベント開始! ご想像通りの展開だ。

 滑れるコは、スキーのうまい人たちと、リフトに一緒に乗って上から滑ってくる。

で、ワシみたいなヘタクソは、平らなところでスキーの練習も兼ねて、スキー部の連中から指導を受けるみたいなかんじだった。

 一日中滑ったら、スキーウエアをストーブの上に干して、お風呂に入って暖まってからの宴会。「マジな女の子たちの攻勢は、凄まじいものがあった」とだけ。あとは、想像に任せる…。

 → スーパーコンパニオンみたいなのを想像する人がいると思うので、具体的に例を挙げると…

そもそも、ガチの○○婦人狙いなので、容姿端麗で、教養の高さ、高い社交性を競うお嬢様の戦いだということ。

  1. ゲレンデ用のバッチリ・メイクを落として、「すっぴんでも、私綺麗でしょ」アピール。
  2. カラオケ? 私はピアノ伴奏できます。コード付きの歌詞本ペアでもってきました。
  3. 後日、一緒に撮った写真が、美麗なペン字で書かれた気の利いた内容と筆で描かれた挿絵の手紙に添えられて送られてきて、「私は、礼状も書けますよ」アピール。
 この辺は、デフォの世界だからね。

 それで、親しくなったコたちから、いろいろ話を聞いた。毎年恒例のスキーツアー、職場の先輩、女子大サークルの先輩からの代々続くコネと多額の参加金が必要なんだという。誰もが参加できないし、口外はしないというルールらしい。

 代々主催担当者は、そういうコたちからのお金を自分の懐には入れず、全体の費用に組み込むため、男側の費用負担が学生向けの格安ツアー以下の価格になったということだった。今考えても、良いイベントの開催方法だったなと思う。

 スキーツアー以外にも、夏の瀬戸内海に浮かぶ私有島、某グループ研修所を借りての海水浴…。秋の関連温泉施設近くの旅館で、秋の味覚三昧… いろいろあったらしい。

 スキーといえば、親指の骨折は仕事に差し支えるので、正しいストックの握り方を延々と行きのバスの中で説明を受けたことも思い出した。

 ワシが参加した時とは違う年度でのツアーでは、接触による骨折事故が起きたらいけど、まぁ、みんなプロ集団なので、たいしたことにはならなかったみたいだけど。

 暖冬だけど、今年2016年も、これから一週間ほどは雪が全国的に降る模様。くれぐれも、スノボやスキーでケガをしないように、青春を謳歌してもらいたい。マイカーでのスキーの往き帰りこそ、この時期の交通死亡事故になるので、無理な運転をせず、運転者を複数にするとか、気を付けていこう。

 運転中襲ってくる睡魔は、停車してわずか15分の仮眠でおさまる。

 幸い、我が家は、妻子共に、車酔いしやすく、寒いのが大嫌いなので、スキーをする習慣はなくなったので、助かっている。

※今は、弾丸スキーツアーを大手バス会社はやっていない。