AVT-C878は、HDMIで出力される映像(ゲームのプレイ画面)を撮る(キャプチャーする)ための録画機で、2016年12月に発売されました。AVerMediaは、台湾のゲームのキャプチャーデバイスを作るメーカーです。

 私は、MacをプラットフォームにしてBlackMagic Design社のHDMIキャプチャーデバイスを使ったゲームのプレイ動画や配信のシステムを構築しています。前前から、ドイツのElgato、台湾のAVerMedia(アバーメディア)のHDMIキャプチャデバイスはどうなのか?という質問をよく受けていました。

 今回は、AVT-C878(AVerMedia LIVE GAMER PORTABLE 2 )を23801円で買ったので、その使いこなしや問題の解決方法等をまとめます。

結論から言うと、

AVT-C878は、本体のみで1080p/60fpsのテレビゲームの画面録画ができることとPCとUSB2.0で接続できるが、単独録画の信頼性が低くてメインとしては使えない。

AVT-C878

HDMIキャプチャーデバイスの記事を読むために必要な用語集 まとめ

  • HDMI:映像音声を送る信号ケーブルの規格
  • HDCP:HDMIに付けられているコピープロテクト。AVT-C878もHDCPのある動画データはキャプチャーできない。
  • HDMIキャプチャー:HDMI信号で出力される動画を録画すること、録り込み機械。
  • ドット、ピクセル:一枚の絵を構成する最小単位、画素のこと。
  • 解像度:一枚の絵を縦横で何個のドットで表現するか? たとえば、「1920×1080」は、約207万画素。
  • 1080p:1920×1080 200万画素の絵一枚で表現する映像、「p」はプログレッシブという方式のことで、省かない綺麗な絵になる。
  • 1080i:「i」はインターレース方式といって、格子状に映像データを省いてデータ量を減らす方式、テレビで使われているが、滑らかな動きを表現できない。
  • fps:フレームレート(frame per second)のこと。一秒で何枚の絵を描き変えるのか?というもので、30fpsよりも、60fpsが滑らかに表現できる。
  • フルHD:HDはハイディフィニションで、720pの1280×720の解像度の映像のこと。それの2倍、1920×1080をFHD(フルHD)という。UHDはウルトラHDで、1080pの4倍、3840×2160の解像度になる。
  • エンコード:動画データを圧縮すること。実行するソフトや機器をエンコーダという。
  • デコード:圧縮された動画データを元の映像に復元すること。それを実行するソフトや機器をデコーダという。
  • コーデック:動画の圧縮(エンコーダ)や復元(デコーダ)の規格。フォーマットとも言う
  • 可逆性、不可逆性:圧縮しても完全に同じ動画データに復元できるのを「可逆性」、圧縮した動画データを省かれた少し粗い映像信号に戻すのを「不可逆性」という。
  • mp4:動画の圧縮や復元の不可逆性エンコーダ規格の一つで、10〜20分の1に圧縮しても、パッと見た目では分からないくらいの劣化した映像に復元できる。効率の良い圧縮ができるので、よく使われている。
  • ProRes:プロレズ。macOSのApple純正コーデック。Final Cut Pro Xを購入しインストールすることで使える。
  • AMV4:Windows の汎用 HDMIキャプチャーソフト アマレコで使うコーデック(2808円)。日本人(個人)が提供する世界に誇れるコーデック。

AVT-C878のフォトレビュー

AVT-C878同梱物

 AVT-C878本体と図入り日本語の取説、40cmのHDMIケーブル、1.8mのmicroB-USBケーブル(USB2.0)、1.8mの3.5mm径の4極ミニプラグの音声ケーブルが付いています。

AVT-C878正面

 AVT-C878は、三角柱を横にした筐体をしていて、底はゴムで滑り止めになっています。

 AVT-C878本体のサイズは、147x 57 x 47 mm、重さは185gです。

 正面には、録画のスタートボタンと動作状態を示すランプ、ヘッドセットのマイクのボリュームスイッチ、モード切り替えをするスライドスイッチ、ヘッドセット端子とパーティチャット端子(PS4)と接続するためのジャックが付いています。

 モード切替スライドスイッチは、左から、「PC接続モード」、「単体録画モード」、「microSDカードリーダモード」になります。

AVT-C878音声接続

 AVT-C878でプレイ動画を録画しつつ、フレンドとの会話も一緒に録音したい時の接続方法は、こうなります。DUALSHOCK 4のヘッドセット用ジャック(音声、マイク)とAVT-C878のパーティチャット用端子を付属の4極ケーブルで接続します。DUALSHOCK 4のヘッドセット端子に挿していたヘッドセットをAVT-C878のヘッドセット端子に挿します。PS4の音声の設定については、オンラインマニュアルに記載があります。

 AVT-C878についている音声ボリュームスイッチは、ヘッドセットのマイクの音量調節、ミュートのために使います。マイクの音量調節のために、ーか+ボタンの長押しで青点滅になると「モニターモード」になって、ゲームの音とマイクの音が一緒に聞こえるようになりますので、それでマイクの増減をします。もう一度、ーか+ボタンの長押しで通常モード(青点灯)に戻り、マイクの音が聞こえなくなります。青2回点滅は、マイクの音量が最大になっていることを示します。赤点灯は、マイクのミュートです。

AVT-C878裏面

 AVT-C878の裏面には、HDMIのポートが二つあります。一つは、HDMI入力ポート、もう一つはHDMIのパススルー出力ポートです。AVT-C878単体で録画ファイルをこのHDMI出力ポートから映像として出力できません。

 microB-USBポートはUSB2.0で、パソコンにつなぐとデータの通信ができます。本体にバッテリーを内蔵しているので、充電もできます。充電しながら、AVT-C878単体でmicroSDカードに録画することもできます。

AVT-C878の特長

  1. 1080p/60fpsのフルHD動画を入力できて録画できる ファームウエア  Ver 3.0.0.3で、59.94、29.97FPSに対応。
  2. 単体録画モード:パソコンにつながないで、AVT-C878単体で録画できる
  3. PCモード:パソコンにつないで、パソコンに録画や配信ができる
  4. 実況音声を同時に録音できる
  5. microSDカードに録画できる
  6. HDMIのパススルー機能が付いているので、HDMIスプリッターが要らない。
  7. 詳細なオンラインマニュアルのおかげで、複雑な配信方法と設定ができる。
  8. モバイルバッテリーの5V/1Aで駆動できる。

1)AVT-C878は、1080p/60fpsのHDMI入力対応

 1080p/60fpsというのは、一枚1920×1080ドットの絵を一秒間に60枚描き変えることで、滑らかな動画を表現します。「ヌルヌルと動く映像」とは、「60fps(59.94fps)」

 PS4のHDMIの出力が1080p/60fpsなので、AVT-C878はそのまま録画することができます。

 いままでは、この1080p/60fpsの動画を録画するためにハイスペックのパソコンが必要で10万円程度のコストがかかっていました。2016年夏に組んだSkylake(Core i7-6700K)の自作パソコン(HDMIキャプチャー&配信用)についての記事はこちら

2)、5)単体録画モード、パソコンとつながないで録画

 AVT-C878は、microSDカードを内蔵できて、1080p/60fpsで単体で録画できるHDMI録画機です。

AVT-C878SDカード

 microSDカードについての記載が、「SDHC Class 10以上」以外ありません。とりあえずFAT32で使えています。4GB以上のファイルサイズになったらどうなるのか?とか、ユーザに親切な詳細なマニュアルを提供するアバーメディアにしては、その辺のツメが甘いなと。

 microSDカードの取り扱いについては、差し込めばロックがかかって、外すときはもう一度押すとカードがバネで押し出されているようになっています。

microSDカードに録画する場合のビットレートの設定は3段階

ビットレートRECentral3設定1

マニュアルに記載があります。私が使うのは、フルHDの1080pの録画だけですので、「最高」で20Mbps、「良い」で15Mbps、「普通」で10Mbpsとなっています。

 FAT32の4GB制限を考えると、1080pの「最高」画質で録画すると、連続録画は30分程度までできることになります。

 YouTubeにアップロードするのなら、2GBという制限とビットレートは7〜8Mbpsなので、必要に応じてファイルの分割や再エンコする必要があります。

3)PCモード:パソコンとUSBケーブルでつないで録画や配信

 HDMIキャプチャーはハイスペックなパソコンと高価な高速ストレージを必要としました。AVT-C878などのようにハードウエアエンコーダを内蔵したキャプチャーデバイスのおかげで、USB2.0という遅い信号ケーブルを使ってもパソコンにフルHDの動画を録り込むことができます。

 それでも、パソコンの画面で圧縮された動画データをディスプレイに表示したり、配信をするためには、パソコンの高い処理能力が必要です。

 Windows で、CPUは、Intel® Core  i7-3770(第三世代チップセットIvy Bridge)以上、グラフィックカードは、NVIDIA GeForce GTX 650、AMD Radeon R7 250Xを必要と書かれています。ハードウエアエンコーダーのQSVやNVIDIA必須ですからね(笑)。ノートPCだと、第四世代(Haswell)のi7-4710HQ以上です。

 Macでも、 「2.8GHz クアッドコアIntel® Core™ i5プロセッサ同等以上」という記載があります。実際に、i7-2600のPCでOBSを使用してみましたが、CPUパワーを使い切りました。

Windows には専用の配信ソフト、RECentral 3が無料でダウンロードできる

 アバーメディアは、Windows専用のアプリケーションとして、RECentral 3という、録画/配信ソフトを提供しています。Webカメラでプレイしている自分の顔をプレイ動画にはめ込むPiPに対応している多機能なソフトです。
RECentral3 

 残念ながら私のテスト環境では、うまく動作しないので、別のWindows 10のPCが用意できたら試してみる予定です。RECentral 3のバグ修正で、使えるようになりました。

RECentral3 RECentral3-1

 RECentral 3でライブ配信もでき、同時録画ができます。ただし、テスト機がCore 2 Duo E8400 3GHzと古いPCのため、配信も録画もカクついてしまいます。

チャンネルが停止されたので動画は無し。

RECentral3設定2
 RECentral 3は、AVT-C878の設定もできます。それぞれの設定の意味は、オンラインのPDFマニュアルを参考にしてください。
Macは、独自に用意する必要がある。

 AVT-C878専用の設定ツールであるLGP2 Setup Toolが用意されているだけで、録画や配信ソフトは、サードパーティ製のものを用意します。フリーのOBS Studioというアプリケーションをダウンロードして設定して使うので、コスト面で追加はありません。

OBS-AVT-C878

 OBSの複雑怪奇な設定方法についても、オンラインマニュアルに詳細に記載があるので、その通りに設定していけば、つまずくこともなく使えるはずです。

4)実況の音声を同時録画できる

 この辺は、ゲームの実況をする人には必要な機能でしょう。PS4のDUALSHOCK 4についているフレンドとの音声チャットを、録画や配信のゲームの音へ混ぜ込むということが、このAVT-C878単体でできるようになっています。

 ミキサーとパソコンを使って配信ソフトに音声を混ぜ込む手間が、省けるというメリットがあります。

 これも、設定が複雑になるの、具体的な設定方法はオンライマニュアルを参考にしてください。

6)HDMIのパススルー(スプリット)機能が付いている

AVT-C878の単体録画のつなぎ方

 ゲームキャプチャーデバイスには、このHDMIパススルー機能が付いています。HDMIの分配するスプリッターと同じで、HDMIの入力信号をそのまま出力することで、遅延のない動画をディスプレイに表示することができます。

 キャプチャーからのパソコンに録り込む動画は、デジタル処理が入る分、パソコンの画面に表示される時は遅れますからね。それでも、このAVT-C878は、ハードウエアエンコードをしてUSB2.0という遅い信号ケーブルを使っているにもかかわらず、パソコンの取りこみソフトの画面にでてくるまでの時間は、0.数秒という速さです。

H264ProRecorder

 AVT-C878と同じ、USB2.0で1080pの動画をキャプチャーするBlackMagicDesign社のH.264 Pro Recorderは6年前の製品ということもあって、画面は3秒程度の遅れがあります。

 BMD社のH.264 Pro RecorderとAVT-C878の違いについては、後追々追加していきますが、とにかく色味が違います。

ProRecoderとAVT-C878

 AVT-C878の方は、全体的に薄いです。録画したファイルも動画も、全体的に薄いです。同じHDMI信号をスプリッターで分岐して、Intensity Pro 4K、H264 ProRecorderと、AVT-C878とで表示、スナップショット、録画をしてテストしていますが、AVT-C878は、白っぽくなってしまいます。

 色の設定が、AVT-C878の本体側でできるわけではないので、録画ファイルをいじるか、録り込みのOBS側で設定しても、調整ができません。

7)詳細なオンラインマニュアルがある。

 アバーメディアの公式ダウンロードページに、詳細なマニュアルがあります。PDFファイルで、最新の状態でダウンロードできるので、新しいのをダウンロードして参考にすると良いでしょう。

 接続の方法も、図入りで詳しく説明してあります。

LGP2-Setup-Tool 

 Windows 用のRECentral 3というキャプチャーソフト、Mac用のAVT-C878設定専用のLGP2 Setup Toolというソフト、AVT-C878のファームウエアがダウンロードできます。2016年1月8日で最新Verは、Ver 1.1.5.0です。マニュアルも、2016.12.31ですね。Windows 版のRECentral 3については、AVT-C878を認識できないので、保留中です

 まだ、発売されて数ヶ月と若いデバイスなので、不具合があれば、その都度アップデートがあると思いますので、定期的にチェックしておきましょう。

 結局、何をするにも、MacよりWindows の方が何かと便利で都合が良いのは、2017年になっても変わりません

8)AVT-C878はモバイルバッテリーで駆動できる

AVT-C878の消費電力

 AVT-C878の単体録画モードで、動画品位は標準の☆一つにして、スプラトゥーンを一試合やってみました。録画ボタンを押すと、少しだけ電流が増えますが、最大でも0.68A/5.1Vという、スマホの充電よりも電流を食いません。高品位の☆3つにしてもさほどかわりません。

 これなら、スマホ用のモバイルバッテリーでも何時間も駆動できます。

BlackMagic Design H.264 Pro RecorderとAVT-C878の違いについて

  • ハードウエアエンコードを内蔵し、USB2.0でパソコンとつないで使う点では同じ
  • 1080p/60fpsでの録画は、AVT-C878とH.264 Pro Recorderのどちらも可能。
  • OBSで、H.264 Pro Recorderは認識できないので、H.264 Pro Recorderは配信には使えない。
  • H.264 Pro Recoderの方が、ビットレートを小さく設定できるので、YouTubeにアップするときに再エンコをする手間を省ける。
  • 動画の画質は、H.264 Pro Recoderの方が色味が自然で綺麗。
  • 入手性と価格を考えると、AVT-C878の方が有利。

 コントラストの低さが、色味を悪くしています。YouTubeにアップする前に、自分で再エンコし直すときに修正が必要です。この辺のノウハウは、試行錯誤で固めていくしかないようです。

AVT-C878での、抱えている問題点

  1. Windows 10で、RECentral 3が起動しない。ブラウザやSkypeが使っているという警告が出続ける。→ 2017年6月15日 Ver 3.0.0.78(Beta版)で改善
  2. 単独録画にしても、キャプチャーモードでも、画質が暗く、コントラストがひくい、見た目でがっかりする画質。HDMIのデジタル入力なのに、アナログのクソなキャプチャーデバイスみたいな画質には正直失望している。→ ファームウエア Ver 3.0.0.3で少し改善。
  3. MacではOBSでの配信ができるが、思った以上のマシンパワーを使うので、QSVの効く最新のハイスペックなMacでしか満足に扱えない。
  4. 単独録画も、壊れたmovファイルを作ってしまう。H.264 Pro Recorderのバックアップで使っているので、どっちかが録画に失敗しても大丈夫なようにしているけど、四本に一本は録画ファイルの生成に失敗している。結構、致命的な問題。→ ファームウエア Ver 3.0.0.3で、録画の失敗は激減した。
があります。

 ↑ は、スプラトゥーン2の試射会を2011年に買ったBlackMagicDesignのH.264 ProRecoderを使って録画したものです。6年前のハードウエアエンコーダ付きのキャプチャデイバイスなのに、さすがプロ用だけあって、色味がみたまんまです。
 比較のために、同じ場面のAVT-C878の方のファイルを捨ててしまって出せません。
代わりに、ゼル伝の一部でネタバレのないところを30秒ほど切り取ってアップしておきました。

 これまたゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルド自体が、独特のトゥーンレンダリングでアレなんですけど、本来の色合いと比べて、AVT-C878の録画ファイルは暗めになっています。
 この辺は、ファームウエアでどうにでもなるので、色合いを調整した状態のアップデートを出して欲しいです。

 後追々、解決していきます。

 AVT-C878の単体でワンタッチで高画質の録画ができる機能だけでも、十分価値があるので、私のHDMIキャプチャーシステムの一つとして、これらからも使っていきます。

 RECentral 3という配信ソフトは、多機能なので、ゲームの配信だけに使うのはもったいないような気もします。もちろん、Windows 10でも、QSV等のハードウエアエンコが効くハイスペックのマシンが必要なことには変わりありません。
 それでも、録画ファイルは圧縮されたmovファイルなので、Thunderbolt等のシリアル通信デバイスやHDDのRAIDシステムのように高速に読み書きできる大容量デバイスを必要としないのが、なによりもメリットでしょう。

まとめ

 2017年3月3日発売のNintendo Switch にも、プレイ動画のスクリーンショットや録画機能がつきます。しかし、スペック的にNintendo Switchでは、1080pでの配信や録画はできません。1080pでの配信や録画が可能なのはPS4 Proだけです。Nintendo SwitchのSplatoon 2は、2017年夏の発売予定です。TPSのプレイ動画配信はゲーマ系ブロガーとして絶対に外せないポイントです

 より高品質の動画を録画したりするために、こういったHDMIキャプチャーデバイスはゲーム機とは別に用意することが必要です。

 ゲーム機の配信と録画システムは、ハイスペックのパソコンとHDMIキャプチャーデバイス、大容量のストレージなど、ユーザへの高いPCスキルを要求します。だからこそ、ゲーム系ブロガーとしての諸々のスキルの高さを誇示するアイテムなのです。

 アバーメディアの製品は、その高めのハードルを下げ裾野を広げる努力がなされていることを評価します。
 当初からあった数々の問題点は、コツコツとアップデートによって改善されつつあるようで、台湾メーカーならではの改善姿勢を評価します。
 

 しかし、今後はゲーム機本体に配信と録画機能が標準搭載される時代になりますので、いわゆる「録画厨」だけが持て囃すマニアックなアイテムになっていくと思います。