毎年受けている健診、肺のレントゲン(肺結核)検査は保健所に毎年報告しなければならない。事業所ってのは、家族や従業員に健診を受けさせる義務がある。

 その健診を引き受ける内科クリニックにとって、ある程度の規模のグループの健診を引き受けることは、そのまま患者増&売り上げ増に直結するので、外来患者で門前市ができるほど流行っている医院(クリニック)を除いて喉から手が出るほど欲しい案件でもある。

 そこで、内科医院としては経営(営業)的に考えて、単純な健診の検査項目よりも、より多くのオプション検査をすすめることが重要になってくるのだ。

 昨年、胃のレントゲン写真撮影の時に飲むバリウムが数時間して白いウンコになって出るのが嫌で、代わりに追加料金を払って胃カメラを飲んだ。私が学生の頃の胃カメラは、ファイバーが太くて曲がらず、口の中から喉を通るときが辛くて、嘔吐することも多々あったんだけど、今は、鼻からの細いしなやかなタイプが主流になっていて、快適に胃カメラが飲めるようになった。

 某氏が、健診で、たまたま胃カメラを選んだとき、その担当医が食道癌を見つけてくれた。しかも、早期だったため、紹介先の病院で腹腔鏡手術を受け、わずか3週間で仕事に復帰という体験談を聞かされると、私も胃カメラも定期的に飲んで診てもらった方が良いと思うようなった。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の病名をつければ、胃カメラとピロリ菌検査とその治療が保険適用になる。

 保険適用になれば、費用の3割負担で済む。もし、この病名が無ければ、自費扱いになるので注意が必要だ。

健診を利用したピロリ菌の治療への流れとしては、

  1. 胃の中で発泡するバリウム(造影剤)を飲んで、こみ上げるゲップを我慢しながら、グリグリと台が動く胃のレントゲン写真を撮ってもらって、胃や十二指腸に潰瘍がないかを診てもらう。→ 健診の基本料金に含まれるので安い
  2. バリウムの次の年は、胃カメラを飲んで直に診てもらう。 → 胃のレントゲンとの差額追加料金を払うか、潰瘍等の病歴があれば、保険適用にしてもらう
  3.  1980年より前に生まれたオッサンやオバサンは、ピロリ菌の保菌率が異様に高いので、胃カメラのオプション料金ついでにピロリ菌検査のオプションを支払って検査をしてもらう。

ということになっている。

 ピロリ菌の有無は、胃カメラを飲んで胃の中で採取した検体を調べなくても、血液検査や便からピロリ菌の検査ができるようになったので、胃カメラを飲む別料金が払えないという従業員のコらには、看護婦のオバチャンが、「血液検査でのオプションが安いから」とススメている。

 景気の良かった時代には、諸々の検査のオプションも、半分はこちらで負担してやっていたんだろうが、もう今はそんな余裕はない。

ところで、

ピロリ菌というのは何?

 分類からすると、ヘリコバクター。ヘリコは螺旋(らせん)、バクターは桿菌(球菌より長いヤツ)だ。鞭毛(べんもう)というタンパク質モーターがついているスクリューの役割をする毛があって移動できる。運動性桿菌と呼ばれる種類のもので、実は口の中にいる歯周病菌とよく似た物同士なのだ。

 ヘリコバクター・ピロリっていう菌は、塩酸が含まれる胃酸に耐えることができるのが特長で、そのために「ウレアーゼ」という酵素を使い、自らが胃酸に曝されて死なないように環境を整えているということが、徐々に分かってきた。

ウイルスや細菌が原因で癌になるものが、分かってきた。

ピロリ菌が、胃癌の原因菌。HPV(ヒトパピローマウイルス)が性器癌(子宮頚癌)や口腔癌の原因菌。HCV(C型肝炎)が肝がんの原因菌だ。

 ピロリ菌は、胃炎や十二指腸炎の原因菌で、慢性的な炎症が萎縮性炎症組織を引き起こし、それが癌化するというパターンなのが、わかってきた。胃がんの原因は99%ピロリ菌だというセンセもいる。

 なぜ、日本だけ胃癌が多かったのか?という理由も、海外のピロリ菌保有率と日本人のピロリ菌保有率からしても、それを裏付けるものになった。ピロリ菌の罹患率が低い今の十代、二十代の胃がんの発生率が極端に減っているということも、統計学的に裏付けるようなものがでてきている。

ピロリ菌の感染は、虫歯菌や歯周病菌と同じ母子感染、垂直感染

 ピロリ菌は、口の中の虫歯菌や歯周病菌に混じって検出されることがある。大人になってから、ピロリ菌が混じった食事をしても感染はしないことがわかってきた。口の中も同じで、常在菌として定着するのは、生まれてから3歳くらいまでの幼児期に感染した細菌群の構成であることが分かっている。

 なぜ今までわからなかったのか? 口の中の細菌の種類や量が多すぎて、狙って探しても、なかなか見つけられないほどだから。 

 だから、今の二十代前半より若い世代は、親から子供への虫歯菌や歯周病菌の感染をさせないように啓蒙活動をしてきた結果、子供のむし歯は激減し、ピロリ菌保有者も、悪性の虫歯菌や歯周病菌保有者と同じように激減している。

 胃癌で若くして死んだという話を昔は良く耳にしたもんだが、今は若くして胃癌で死んだという人は聞かない。予防と早期発見治療が徹底したからだろう。

ピロリ菌除去の抗生剤を飲んでも再びピロリ菌感染をしてしまう人は歯周病が原因らしい。

 2015年に、口の中からもピロリ菌が分離されたとのレポートがでたことで、抗生剤の一週間投与だけではピロリ菌が排除できなかった人の原因が、実は口の中にあるのではないか?と言われるようになった。

 「まずはダメな歯を抜いて、歯周病の治療をしてから、ピロリ菌の除去をやりましょう」と内科からの紹介がくる時代になったのだから驚きだ。

ピロリ菌の治療方法は簡単で、重度歯周病と同じ抗生剤のミックス投与1週間。

ボノサップパック

 今回処方されたのは、タケダのボノサップパック400だ。

  1. アモキシシリン(アモリン250) タケダ
  2. クラリスロマイシン(クラリス) 
  3. ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ20)タケダ

のセット一日分がシートになって、7枚入っている。あとは、検便のキット。

アモリン250

 アモリンの主成分アモキシシリンというのは、ペニシリン系抗生物質としては、第一世代とよばれる古い抗生剤で、特許も切れているのでゾロ薬(ジェネリック薬)が、いろんな製薬会社からでている。

 細菌への作用機序は、細菌の細胞壁を破壊すること。我々人間などの動物の細胞には、細胞壁がないので、動物にとっては毒ではなく、植物や細菌などの細胞壁を持つ微生物にとっては猛毒ということになる。青カビから分離されたペニシリンの化学合成版だ。

 タケダの場合は、アモリン。私は、アステラス製薬(藤沢)のサワシリンが好きだ。(ゾロ薬じゃないけど)

250というのは、一錠当たりにはいっている有効成分、アモキシシリンが250mg含まれているということ、これを朝3カプセル飲むってのは、1度に750mgを飲む、朝晩飲むので、一日1500mgを飲むということになる。

 このアモキシシリンを一日1500mg飲むのいうのは、点滴に匹敵する血中濃度をだせるので、体のどこかに細菌感染症で腫れたところがあっても、炎症が治まるくらいの威力になる。

 尿からの排泄になるので、一般家庭の浄化槽の汚水処理菌の菌叢が変化して、浄化槽の能力が落ちるという笑い話もある。

クラリス

 クラリスロマイシン(マクロライド系抗生物質)は、発売当初から「効きの悪い抗生剤」として評判が悪く、ペニシリン系の進化型であるセフエム系の抗生剤の人気の影に埋もれしまった感があった。しかし、細菌のタンパク合成阻害剤として作用し、ペニシリン系の抗生剤とは、ひと味違う作用を見せる。

 一言でいえば、細菌感染の炎症に対して、アモキシシリンが、刀のような直接物理攻撃みたいな効き方をするのに対して、後方から支援系魔法(ラリホーやメダパニ?)みたいなジワッとした効き方をする。

 マクロライド系抗生物質は、比較的少ない量で効果を出すので、副作用がすくないという利点がある。だから、ペニシリン系やセフエム系の抗生剤にアレルギー既往がある患者にも投薬ができる。さらに、耐性菌ができにくいので長期の服用が可能だったり、マイコプラスマ肺炎のように、ペニシリン系抗生剤が効かない細菌感染に使えるし、ペニシリン系の抗生剤と併用が可能という、結構、便利な抗生剤だ。

タケキャブ20

 この主成分は、ボノノプラザンといわれる、胃酸を分泌するプロトンポンプの阻害剤(PPI)と言われる新薬だ。胃酸の生成を抑制する胃炎や潰瘍の治療薬。作用機序から、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーとよばれるもので、従来のプロトンポンプ阻害剤と比べて、即効性、持続性に優れていると言われている。

 2015年頃から、ピロリ菌の除菌で抗生剤と一緒に服用するのに、このタケキャブの方が成績が良いということになったようだ。

 腰が痛い、足が痛い…鎮痛薬を毎日服用したがる患者が、「胃が痛むので痛み止めと一緒に胃薬(いぐすり)をくれ」と言うが、その胃薬だと思って欲しい。

 胃酸の分泌を抑制し、ピロリ菌への抗生剤が効率的に効くための補助剤でもあり、胃ぐすりとして効果を期待する。

ボノサップ一回分

ということで、副作用が起きないことを祈りつつ、一週間飲むことにした。

経過と結果は順次更新。
 

ピロリ菌退治のための薬で起きる主な副作用

 飲んでいる薬が、第1世代のペニシリン系抗生剤を一日の最大量1500mgなので、ペニシリン系抗生剤の副作用と同じになる。枕リスがマクロライド系抗生剤なので、これの副作用になるが、ワルファリンなど他の薬剤との相互作用が多少あるくらいで、特に問題ではない。

ピロリ菌退治の抗生剤を飲んでいる間は、禁酒禁煙。

 私は、たばこも酒も飲まないので、服用中の禁酒と禁煙という制限について、なんら不自由をかんじていない。腸内細菌が一通り死んだみたいで、ウンコのニオイが変わってきたなと。

ピロリ菌退治の抗生剤は、腸内細菌も殺すので、ついでに腸内細菌の菌叢の再構成を狙う

 せっかく抗生剤を大量に飲んでいるのだから、大腸の腸内細菌叢を良いモノの作り替えたいと思っている。そこで、腸内細菌に良いといわれる乳酸菌飲料を飲むことにした。ついでに、ヤクルトのプロバイオティクスという、術後の感染性合併症を改善するというジョアを、三輪バイクでうろついているヤクルトのオバチャンを呼び止めて、一ヶ月分を持ってくるように注文するか。

1週間抗生剤を飲みきった。副作用なしで一安心。

 危惧していた副作用はいっさい出ず、体調も快調だった。ありがちな下痢もなく、快食快便だった。

 ピロリ菌を抗生剤でたたいても、ピロリ菌を胃腸内から排除駆逐できたのか?の結果がでるのは45日後なので、検便キットを紛失しないようにしておくことにした。

抗生剤を飲みきってから、45日以降で検便を提出。

 検便を提出しに内科へ。再診、医学管理料、検便の検査で3割負担で4千円超え。医科は管理料からなんから高いねぇ…。結果は、電話で聞くことにして、前もって電話再診料を支払っておいた。明細領収書は、後日いつでも取りに来ていいよ ってことだ。

 無事、ピロリ菌は駆除できていることが分かった。乳製品や発酵食品を多めに摂ることで、腸内細菌もついでに再構築したつもりだ。ウンコのニオイも、漬け物のおなじようなニオイになっているので、成功したと思っている。