家族の誰もが気軽に使えるカメラとして、1万円で買えるコンパクトデジタルカメラ、キヤノン IXY 180を買いました。まず結論から、

IXY 180は、キヤノンのトイカメラ(オモチャのカメラ)です。

 それでも、携帯電話やスマホのカメラ機能と比べて、コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジと略す)としての面目を保てるギリギリの性能に仕立ててあります。

 光学手ぶれ補正装置(レンズや光学センサーを動かして像がぶれるのを防ぐ仕掛け)がついたものは、IXY 190という型番になり、価格も5千円高になります。

 さらに多機能なものがIXY 650です。その他、キヤノンのコンパクトデジタルカメラの主力ブランドは「PowerShot」シリーズがあります。今回は、キヤノンのデジカメで最安値、最廉価版モデルのIXY 180を買ったのでレビューします。

Canon IXY 180のフォトレビュー

IXY180内容物

 手の平に乗る小さな白い箱に、IXY180本体、ACバッテリーチャージャー、リチウムイオン電池NB-11L電池一個、ストラップ、取説と保証書が入っています。

IXY180サイズ IXY180レンズ長 IXY180液晶モニター

 IXY 180本体は、95.2 × 54.3 × 22.1mmとのこと。カメラの電源が入ると、レンズのシャッターが開いてレンズ筒がでてくるまでの時間が1秒。レンズが飛び出る最大の大きさが約54mmです。重さは、ストラップ、SDカードを内蔵した状態で128gと驚異的な軽さです。ボディがほとんど樹脂製でチープな仕上がりになっています。操作ボタンも、特に違和感なく使える。

IXY180バッテリーとSCカード

 バッテリー(NB-11L)の向きがあるので、説明書を読みつつ間違えないように差し込みましょう。

 このNB-11Lは、バッテリーの向きが逆でもIXY180に差し込めて、ロックがかかるところまで入ってしまうのは設計上の問題だと思います。逆さにいれると、端子が接触しないので起動できないし、蓋が閉まりません。向きを間違えると、全く電池が入らないような形状にするべきだと思います。

IXY180SDカード

 IXY180のスペック、用途から考えて、SDカードの容量は、16か32GBが良いと思います。32GBで1200円のSDカードを別に注文しました。テスト用に手持ちの64GBのSDカードを使います。

 SDカードは、Eyefiカード(旧:Eye-Fiカード)も使えます。IXY180本体にはWi-Fi機能がないので、パソコンやタブレット(スマホ)に画像データの送信ができません。でも、Eyefiカードを使うことで、Wi-Fi機能を追加できます。

IXY180上

 IXY180の上部には、左から、マイクの穴、電源ボタン、シャッターボタン、シャッターボタンの周りを囲むようにしてズームレバーが付いています。そして、動画を再生した時に音を出すためのスピーカーの穴が付いてます。

IXY180下部

 IXY180の下部には、SDカードとバッテリー(NB-11L)をいれる蓋があります。印にの方向へ滑らせるとロックが外れて蓋が開きます。ネジ穴は、一般的な1/4インチのユニファイねじです。

IXY180-USBポート

 レンズのある正面からみて、左側側面にストラップ用の穴があります。ラバー(ゴム)の蓋で、MiniB USBポートがあります。 

CB-2LFとNB-11L

 ACにつなぐバッテリーチャージャー CB-2LFに、バッテリーのNB-11Lをいれて充電します。充電時間は、2時間程度になります。

IXY180日付設定

 IXY180本体からバッテリーを外した状態で、数時間放置しても、IXY180に設定した日時の時計データが飛ぶことはありません。時計維持用のキャパシタ(コンデンサー)を内蔵しています。これがあると無いとでは、使い勝手が大きく違ってくるので、とても重要なチェック項目です。本当のトイカメラは時計データの保持ができずに、バッテリーを外す度に、日付と時間を毎回合わせることになります。

IXY180赤目防止

 ストロボが発光する前に、赤目防止のオレンジのLEDが点灯します。

 暗さに慣れて瞳孔が開いた人間の目は、ストロボを発光した光が目の底(眼底)に届いて、毛細血管の赤い色で反射します。その結果、写った人の目が赤くなるのを赤目現象と言います。この赤目現象を軽減させるために、ストロボを発光させて写真を撮る前に、オレンジの明るい光を見せることで、人の瞳孔を小さくさせるという仕掛けです。

IXY180のスペックを箇条書きでざっくりとまとめると…

  1. 1/2.3型CCD、約2千万画素(5152×3864)
  2. 焦点距離 5.0〜40.0mm(35mm換算で、28〜224mm)
  3. 開放F値 F3.2(広角)〜F6.9(望遠)
  4. 光学ズーム倍率 8倍
  5. デジタルズーム倍率 4倍 光学、デジタルあわせて、16倍
  6. 撮影距離 オート広角:1cm〜、望遠:1.3m〜、マクロ:1〜50cm
  7. 液晶モニター 2.7インチTFTカラー視野率100%
  8. ISO感度 100〜1600
  9. ホワイトバランス オート(6パターン)、マニュアル
  10. シャッター速度 15〜1/2000
  11. 絞り 広角F3.2〜9.0、望遠F6.9〜20 → 今となっては少し暗い。
  12. 内蔵ストロボあり
  13. 光学手ぶれ機能無し
  14. セルフタイマー
  15. 写真形式 JPEG(Exif2.3)のみ
  16. 動画 HD 720p/25fps、movファイル、h.264、PCMモノラル
  17. Mini-B USBポート
  18. SDカード、SDHC、SDXCサポート、大きさの上限に記載なし。
  • 開放F値とは、レンズの明るさです。数値が小さいほど明るいのでシャッター速度が速くなり、ブレにくくなります。
  • 焦点距離とは、写真にうつる範囲(画角)です。焦点距離の数値が、小さいほど広く周辺は丸く歪み、大きいほど狭く歪みなく写ります。35mm換算で40mm以下を広角、50mm前後を標準、70mm以上を望遠と言います。
  • 35mm換算とは、フィルムカメラの時代の規格です。今は、フィルムにあたる光学センサーの大きさが小さいので、焦点距離がそれだけ長く(大きく)なり望遠側になります。

 手ぶれの補正が、デジタル処理だけです。実売価格が1万円を切るカメラとしては、物理的にレンズを動かして補正するような複雑な機構をレンズやCCDに付けることはできないからです。

パソコンとつなぐのは、Mini-B USBケーブルが別途必要

IXY180とUSBケーブル IXY180ーUSBポート

 パソコンとはUSBケーブルでつなぎます。販売価格を抑えるため、USBケーブルが付いていません。キヤノンは、パソコンとつなぐのにスマホと同じmicroB-USBケーブルを使わず、MiniBーUSBケーブルを使います。パソコンとUSBケーブルでつないでから、IXY180本体の電源ボタンを押すとパソコンとUSBで通信をします。ただし、SDカードをそのままSDカード(フラッシュメモリ)としてマウント(Macの場合、ボリュームとして認識してデスクトップに表示)できません。

ダウンロード

 パソコン用の取りこみソフト(Digital Camera Software7.0)は、Mac版とWindows 10版がキヤノンのサイト(最新ソフトウエアのダウンロード)に用意されているので、各自ダウンロードして使うことになります。

IXY180とPhotos

 Mac(macOS Sierra)に付属の写真(Photos)でも表示と取りこみができます。しかし、取りこんで削除ができないし、挙動が変です。

IXY 180のバッテリー容量とSDカードで何枚撮れるのか?

 スペック表から、SDカードへの記録枚数として、16GBで3千枚(最大解像度5152×3864)ということになっています。純正のバッテリーNB-11Lで撮れるのが、約220枚です。ストロボをフル発光させれば、150枚程度と考えた方が無難でしょう。これから、しばらくテストを兼ねて、撮りまくってみたいと思います。

 ついでに、NB-11L互換のバッテリーも注文したので、撮れる枚数をテストしたいと思います。

IXY180の使い勝手、良い点とダメな点など、まとめ

起動は、一秒程度と速い!

 レンズカバーが開いてレンズが出て、撮影可能になるまでが1秒です。コンデジとして具備すべき条件を満たしています。前回終了した時の焦点距離(ズーム位置)を覚えているわけではなく、常に最大広角位置で起動しますから、女性が腕を伸ばした距離で2〜3人の上半身が入るフレームになります。さっと取り出して、友達と一緒に自撮りができるというコンデジの基本を周到しています。

軽すぎて、手ぶれが防げないので自撮りは訓練が必要。

 一眼レフカメラのようにある程度の重さがあれば、(重さ自体がスタビライザーとして働くので)手ブレが起きにくくなります。このIXY180のように軽いと、シャッターを押すだけで手ブレがおきます。

 自撮りの時に液晶モニターを見ることができません。IXY180のレンズの向きだけ見て、自分を含めた他の物(者)がフレームアウトしないように、なおかつ手ぶれしないように撮影するために前もって練習しておきましょう。

 室内でのストロボ無しの自撮りが多い人は、光学手ぶれ補正機能が付いた5千円高のIXY 190を買う事をおすすめします。

バッテリーの向きが分かりにくい

 先にも触れましたが、バッテリーの向きが分かりにくい上に、反対でもそれなりにはまり込むので、間違いに気づきにくいです。だから、蓋が閉まらないとか言う人もでてくるはずです。

動画が、HD720p/25fpsというお粗末さが残念

 ハイビジョンの720p/60fpsで撮れるものと思っていました。

 fpsというのは、1秒間に何枚の絵を更新して動画になるのか?ということです。720p/60fpsは、ハイビジョンの最高品質動画で、1280×720ドットの絵を1秒間に60枚更新します。IXY180の動画は、1280×720ドットの絵を1秒間に25枚になります。そもそも、テレビが24fpsですので、チラツキは気にならないでしょう。ちなみに、ヌルヌルと動く動画というのは、60fpsの動画のことです。

 今は、コンデジでも動画を撮ることが多いと思います。古めのiPhone にすら劣るビデオカメラの性能ですので、すこしガッカリです。撮った動画は、多少のパラパラ感があるものの、ちゃんとしたカメラだけあって、色合いボケ具合などは良いです。音がモノラルなので、諸々を期待してはいけません。

光学式手ぶれ防止機能がないのを逆手にとって、ぶれない写真を撮る鍛錬にする

 画像処理(デジタル式)のブレ補正機能だけでは、このIXY180の軽さによる、手ぶれは防げないことも多いと思います。

 昔から、こういった小さく軽いカメラには手ぶれがつきもので、フィルムを現像してプリントしてみたら、全部ブレブレ写真で、(現像・プリント代で小遣いをはたいたのが無駄になって)ガッカリなんて経験を、私らの子供の頃に何度も経験しています。
 シャッターを押すときに、一瞬息を止めて体や腕、指の無駄な動きを止めるという技を磨く意味でも、こういうシンプルなデジカメを日頃から手軽に使うのも良いと思います。

 サッと取り出して、パッと撮る。いつも手許に転がしておいて、サッと撮る。そんな使い方のためのカメラです。防滴、耐衝撃性はありませんので、落とせば壊れるし、水がかかれば水没故障します。精密機器の取り扱いの基本を学ぶ上でも、子供(小学校高学年〜中高生)に与えるのにピッタリのトイカメラです。

ブログの写真を撮るのにも手軽でおすすめかも…

EOS-Kiss-X8i IXY180とミニ三脚

 わざわざ大きなデジタル一眼カメラを両手に持って撮らなくても、IXY 180なら片手で撮れます。小さな三脚(ダイソーの108円のヤツ)とセルフタイマーの2秒で撮れば、手ぶれのないクリアな写真が撮れます。

 二世代くらい前の古いスマホで撮った写真で、ブログのレビュー記事を書いても、胡散臭さが増すだけになります。

 カメラの性能は、使い手のヘタクソさをカバーします。かといって、本体価格30万円、レンズ20万円とかのデジタル一眼カメラは、誰もが買えるものではありません。無難に、基本性能がしっかりとした安物のコンデジをフル活用することをおすすめします。

バッテリーNB-11Lの互換品、ROWAのNB-11Lを使ってみる

 キヤノン純正のバッテリーNB-11Lは、一個2千円しますが、ロワの互換バッテリーは、2個で880円税・送料込みです。

ロワNB-11L

 キヤノンのカメラのバッテリーには、プロテクトがかかっていて、互換のバッテリーは残量が表示されないとか、純正の充電器が使えないことがあります。このIXY180のNB-11Lに限っては、ロワの互換バッテリーも純正の充電器で充電できて、IXY180で使えます。バッテリー残量も表示されます。

 歴代の各種デジカメでロワの互換バッテリーを使ってきた経験上、純正にくらべて容量が8割程度で劣化も早く50回程度の充放電で、充電できなくなるはずです。値段が値段故に、高望みしてはいけません。

 買ったバッテリーは購入日を書いておきましょう。白いシールを貼ってあるので、マーカーで小さく「正」の字を書いて充電回数を記録しておくと、寿命が近いのがわかります。

IXY180の一部に不具合が発生し、リコールがでています。

 キヤノンのページにて、IXY180の点検修理の告知があります。対象は、「カメラ本体シリアル番号の左から1桁目および2桁目の数字が“11”,“12”,“21”,“22”,“23”,“24”の製品で発生する場合があります。」とのことです。該当のシルアルの人は、点検してもらいましょう。



他、気がついた点は、追加していきます。