2015年11月にSONYの非常用ラジオの最新モデルとしてICF-B99が発売された。さっそくICF-B99を9千円で買ったので、レビューする。(2018年9月7日 修正と更新)

ICF-B200&ICF-B99

 いままで、SONYの非常用ラジオのICF-B200を使っていたので、最新モデルを買い足したということになる。

 結論から言うと、

災害時に持ち出すラジオとして作られているICF-B99は、普段使いのラジオとしても使えるのでオススメだ。ただし、少し重いのと耐衝撃性は期待できない。

 このICF-B99は、ソーラー充電、手回し充電に対応したラジオで、携帯電話の充電も可能な多機能なものだ。充電池を内蔵し、ソーラーパネル、手回し充電器をもっているので、太陽の光に当てるか、暗いところでも手回しハンドルをグリグリと回せば、しばらくラジオを聞くことができる。

緊急用ラジオ ICF-B99の特長をざっくりとまとめて箇条書きにすると、

  • ラジオは、AMとFM、FMは〜108MHzとワイドバンドFM対応
  • サイズは大人の拳一個半、重さは350gと重め。
  • 単三電池2本で動く。
  • 内蔵電池への充電は、USB、ソーラー、手回しの3通り。
  • LEDライト付き
  • ストラップと緊急用の笛がついている。
  • 防滴仕様(JIS IPX4相当)
ICF-B99サイズ重さ

ICF-B99は、大人の手の平に載るサイズ(132 X 79 X 58 mm)だけど、単三電池を二本いれると、400gとずっしりと重い。

ICF-B99のフォトレビューと各部位の説明

パッケージと内容物

ICF-B99-1 ICF-B99パッケージ裏ICF-B99-2

パッケージは、こんなかんじ。内容物は、ICF-B99本体、取説保証書、巾着(キャリングポーチ)、microUSBケーブル、ガラ携の電源変換アダプタ、ストラップと緊急用笛。

ICF-B99の付属ケーブル ガラケー変換アダプタ

今時のスマホは、microUSBなので、ガラ携用のコネクタ変換アダプタが付いている。ちなみに、iPhoneのLightningケーブルの変換アダプタは付いていない。

ストラップと緊急用の笛が付く。

ICF-B99の笛

ストラップは、手回し発電の時に、ラジオ本体をすっ飛ばさないように手首に巻くために必要だ。

ICF-B200のブザー

 昔のICF-B200には、非常用のブザー(ピィ ピィ…)のスイッチが付いていた。今は、笛だ。声を出すより、笛を吹いた方が捜索する側の人に分かりやすいし、息ができなければ笛は吹けないから、生きているという証拠にもなる。

ICF-Bシリーズ伝統の手回し発電レバーが付く

ICF-B99手回し充電

 ダイナモ(発電機)をラジオ本体に内蔵していてレバーが付いている。左右どちらの手で、どちらの方向に回しても発電できるので、疲れたら反対側の手を使うことができる。かならず、本体を持つ手に、ストラップをくぐらせ、落として壊さないようにしよう。初期のICF-B200に比べると耐衝撃性を配慮したボディでは無くなっている。

 一秒間に二回転で、充電できているLEDランプが点灯するので、それを目安にクルクルと回す。1分回せば、FMで50分、AMで75分、ライト15分の点灯ができる電力をバッテリーに蓄えられると取説に書いてある。

 ハンドルがすこし華奢で力一杯回すと折れてしまいそうなので、遊ぶ程度にくるくる回して動作するのか?だけを確かめるだけにしたほうが良さそうだ。日頃の内蔵バッテリーへの充電は、AC USBアダプタを使って充電するか、単三電池をいれて使うほうが良いだろう。

単三電池2本でも動かせるので、長時間ラジオを大音量で聞くことができる。

ICF-B99裏面 ICF-B99電池蓋

 裏には、電源の切り替えスイッチがあって、単三電池2本をいれれば、内蔵バッテリーを温存して、単三の電流を使うこともできる。もちろん、単三の乾電池だけでなく、ニッケル水素充電池も使える。

 単三の乾電池二本で、FMは80時間、AMなら100時間、LEDライト点灯は50時間持つと説明書に記載がある。

 蓋にはゴムのパッキンがついていて、防滴仕様(JIS IPX4)だ。「IPX4」というのは、あらゆる方向から飛沫の水に対して本体機能を維持できるというもので、水中に沈めることはできない。ヘッドホン端子やUSB端子のある部分は蓋が閉まっていないとアウトなので、使わない時はきちんと蓋をしておくことが大切だ。

操作はダイヤル式なので、今の子供にはチンプンカンプンかもしれない。

ICF-B99右操作ダイヤルICF-B99ダイヤル類

 スマホでラジオを聞く時代になってしまったので、ラジオ放送自体が、今の小学生には理解できない存在になっている。「ラジオって 音だけのユーチューブ番組?」ということらしい。

 放送局の周波数にダイヤルを合わせる作業をチューニングというんだけど、デジタルのボタンを押すか、自動スキャンの時代には、こういうダイヤル式で、指先で放送局を探し出して合わせるなんてことは、全く触ったことも合わせて聞くことも、したことがない子も増えている。

 それに、クルクル回して発電した電気でラジオを聞いたり、スマホを充電できるという点に、子供が興味を持って食いつくかもしれない。 

 だから、ある意味、こういうのも教材として有用かもしれない。 

 日本でも底辺層の子供は識字率が悪い。日本で生まれ育ち日本語しか話せないにもかかわらず、ラジオを聞いても何を言っているのか理解できないほど語彙に乏しいという現実がある。だから、彼らは高度な知識とコミュニケーションが必要な仕事には就けないんだよな…。

ICF-B99にはLEDライトもついている。

ICF-B99LEDライト

 緊急用ラジオとして進化してきているので、LEDライトがついている。しかし、ラジオのダイヤル表示部分にはライトがつかないので、手でLEDライトの明かりを反射しつつ、その光でダイヤル表示を見なさいということか。

 白色LEDの一個分の明るさで、照らせる範囲もかなり狭い。今はスマホもLEDライトになるから、あえて広く照らす意味はないってことなんだろう。「絞った光が出せる」ということは、笛と同じく、救助に来てくれた人たちへ知らせるための信号として使えるようにという事だろう。

充電用のUSBポートとイヤホンジャックはカバーでフタがしてある。

ICF-B99ジャック類

 イヤホンジャックは付いているので、緊急避難所で他の人がたくさん居る場所でラジオを聞くためには、イヤホンの方が良いだろう。昔のICF-B200にはストラップにイヤホンを収納できて、一緒に持ち運べたんだけど、最近のモデルは別途買って付けなければならない。

 ICF-B99の内蔵バッテリーをUSBケーブルで充電するためには、microUSBポート側に挿す。

 緊急時に、ICF-B99から携帯電話やスマホへの充電が必要なら、USB-Aポートの方へmicroUSBケーブルをつなぎ、スマホへ内蔵バッテリー(単三電池)から充電する。

 ※ICF-B99には、Lightningケーブルが付いていないので、別途、microUSBとLightning兼用のUSBケーブルを巾着にいれておくことをオススメしたい。

 ICF-B99の内蔵バッテリーの充電が十分であれば、あえてハンドルを回して充電しなくてもスマホへの充電をしてくれる。 

ICF-B99スマホ充電

 ↑ は、Androidスマホ フリーテルのMIYABIを充電している。電流が実際にどれくらい流れているのか? sanwaのDMM PC700の2台で電流、電圧を測定し、そのデータをパソコンに取り込むデータロガーを使ってデータを録ってみた。

ICF-B99でiPhone 5sを充電

ICF-B99の充電 ICF-B99のiPhoneへの充電状態

 内蔵バッテリーに貯まった電気をiPhoneへ充電している状態を、データロガーで表示してみている。

ICF-B99とiPhone(Androidスマホ)とUSBケーブルでつないだままで、ハンドルを回して発電することは想定していない設計になっているようだ。

 つないだままでハンドルを回すと、iPhone(Androidスマホ)への電流が低下してしまう。

 つまり、ICF-B99を単体でハンドルを回すか太陽光発電で内蔵バッテリーに電流を蓄えて、それをUSBケーブルをつないで、iPhoneへ充電するという説明書通りの使い方が一番良いことがわかった。

 4.8V / 0.48A程度で充電するので、急速充電ではない。iPhoneは、バッテリーを使い切りシステムが落ちた状態からの再起動ができるようになるまでには、5分程度は回して内蔵バッテリーを満タンにしてから、充電をした方が良いだろう。ICF-B99の内蔵バッテリーを使い切ったら、一旦USBケーブルを外して、ICF-B99を手に持ってハンドルを回して内蔵バッテリーの充電をして… の繰り返しでやることになる。

ICF-B99で、バッテリーが空っ欠のiPad Air 2を充電

iPad充電 iPad-Air-2充電

 バッテリーを使い果たしてシステムが落ちた状態のiPad Air 2を充電してみる。充電できているものの、4V / 0.5Aと、5Vがでていない。iPad のバッテリーを使い果たした状態での充電は、本来 5V / 2.4AというUSBとしては大きな電流を必要とする。

 リチウム乾電池なら大電流が流せるので、と期待する人もいると思うが、実際にやってみると、ICF-B99のDC-DCコンバータ(3V→5V)は、5V/0.5A以下のアップコンバートの能力しかないことが分かった。まぁ、スマホを充電できるとは説明書に書いてあるけど、タブレット特に、iPad を充電できるとは、大々的にうたっていないからね。参考程度に。

ICF-B99でNew 3DS LLを充電

ICF-B99と3DS

 避難所の中継で、子供達が暇をもてあましている姿も見受けられるので、microB→3DS充電アダプタ等を、巾着の中に入れておくと、3DSも充電できるようになる。「自分で遊ぶ3DSの電気は自分の手で回して発電しなさい」と言える。 

ICF-B99には、ソーラー発電という眉唾(まゆつば)ものの機能がついている。

ICF-B99ソーラー部

 太陽電池パネルが、筐体上部に付いていて、直射日光に一時間当てていると、FMで40分、AMで60分、LEDライトは10分点灯できる電力を内蔵バッテリーに貯めることができると取り扱い説明書に書かれている。

 ただし、ボディが黒く、太陽電池での発電には発熱が伴うので、取説の記載通りに「風通しがよい場所」の直射日光が当たるところに置いておくということになる。しかも、盗難に遭わないように人目の付かないところが良い。そういう意味では、太陽電池パネルで充電することに期待してはいけない。

 極めて高温になる真夏日の炎天下に駐車した車のダッシュボードの上は、内蔵バッテリー(ニッケル水素充電池)を傷めるだけでなく、電子部品やボディが焼けてしまう。

 太陽電池パネルを搭載してないタイプもICF-B09として、少し安い価格で売られているので、そちらを選ぶのも良いだろう。コメントに頂いた通り、ICF-B99では太陽電池パネルが付いている部分が、ICF-B09はLEDソフトライトになって、広範囲を照らす仕様になっている。

ラジオ自体の感度や選択度、音は、いたって普通。

ICF-B99裏面アンテナ

 FMラジオは、アンテナを伸ばして使う。アンテナは短めの30センチ弱。AM、FMともにローカル局はバッチリと聞こえるし、とくにノイズに弱いというかんじもない。

 ラジオの感度やダイヤルのズレを測るための、シグナルジェネレータ(SG)も中古で買ったものの、未だに使いこなせず、こういうラジオの感度が正確に測れないのが残念だ。

 音は、初代のICF-B200は、高音ばかりが強調されて、長く聞くのには疲れる気がする音質だったけど、このICF-B99は、聞き取りやすい音質としか言えない。この辺も、具体的にグラフで示したいんだけど、シグナルジェネレータのAMとFM波にサイン波のスイープを設定することができないので、測れない…。

農作業やキッチンで、日常的に使うラジオとしてこのICF-B99は良いのか?

 農作業用や台所(キッチン)でラジオを聞く場合にも、防滴なので軽く水洗いできるから問題なく使える。

 音量を全開にしても音が割れて聞き取れないことはないが、耳をつんざくような大音量は出せない。

 日頃使うラジオとして使えるので、緊急用ということでしまい込んでしまうのも、もったいない気もする。

枕元におく緊急用避難袋(靴と上着込み)に入れる時の注意点

ICF-B99巾着

 一式を付属の巾着(ポーチ)に入れ、単三電池は別にして、充電池でないリチウム乾電池を緊急用避難袋にいれておくと良い。ICF-B99の長期保存方法は、取説に記載されている通り、

  1. 単三電池は入れずに外して、別に保存する。
  2. 電源切り替えスイッチを「単三電池」にして、内蔵バッテリーの放電を防ぐ。
  3. 1年に1度は、USB ACアダプターにつないで、ラジオ内部のバッテリーを充電してやる。
  4. 内蔵バッテリーが劣化しないように、時々、充放電を繰り返しておく。

ICF-B99は、リチウム乾電池、ニッケル水素充電池も使える。

ICF-B99とリチウム乾電池OK

 リチウム乾電池(パナソニック)は電圧が1.78Vあるものの、2本いれて問題なくラジオもLEDライトも点灯することを確認した。地元AM局やFM局を連続で2時間ほど、そこそこの音量で聞いて試してみている限り、手に触ってわかるような加熱する場所、部品が焦げる臭いがするなどの問題は起きていない。

ICF-B99でスマホを充電

 なお、このリチウム乾電池からの電力をスマホなどへ充電することができることも確認した。つまり、内蔵バッテリーと単三電池のどちらからも、iPhoneやiPad、Androidスマホ、タブレットへ0.48V / 0.48Aの充電をすることができる。

 スマホへの給電は、ラジオのスイッチをオフにして「携帯充電」にしておくこと、内蔵バッテリーか乾電池かの切り替えで、どちらからの給電にするかを選択できる。乾電池側で1度でも乾電池の電圧不足を検知すると、再度ラジオ側にスイッチを入れ直さない限り、給電ができなくなるように、安全回路が働いているようだ。

 リチウム乾電池なら、iPhoneを4〜5回充電できる能力を持つので、緊急袋に一緒にいれておくことをオススメしたいが、浸水しても短絡(ショート)で燃えないように防水袋にいれておくことをわすれないように!


  • 単三形のリチウムイオン充電池は電圧が3.7Vもあるので、くれぐれも間違えないようにしよう。
  • 緊急避難時には、ラジオやハンディ(無線機)を聴きながら移動する。避難場所、支援物資の到着情報等、必要な情報を聞いたら、忘れないようにメモを取るための野帳と鉛筆(ボールペン)をセットにしておくようにしよう。
最近流行の中国製のラジオは、DSPチップによるもので多機能なかわりに、消費電力が大きくて、電池が長持ちしません。昔ながらの、同調、検波、増幅のアナログ(IC)チップを使ったラジオの購入をお勧めします。

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