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小学校や中学校で習う科目が、大人になって何の役に立っているのか?について解説します

以下、参考までに。 

算数(さんすう)は、日常生活(にちじょうせいかつ)で使う数のかぞえかたを学びます。

 数学(すうがく)は、かがくぎじゅつのもとになっている物理学(ぶつりがく)の道具の一つですので、算数とは別物(べつもの)です。

 算数では、単位(たんい)がとても大切(たいせつ)です。

1こ180円のリンゴを5こ かいました。いくらになるでしょう? は、

180 X 5 = 900 で、900えんです。

5 X 180 = 900 と式(しき)を書(か)いて900円と答えても間違(まちが)いになります。

理由は、(ここから難しくなります。)

指導要綱などから、

小学校二年生で、かけ算には、「1つぶんの数 X いくつ分=ぜんぶの数」「もとにする量 X 何倍=くらべる量」の2つの意味があることを学びます。

 算数は、身近な生活との密接な関連が必要なので、「同じ数の物が、いくつ分かある場合の総数を求める計算」ということになります。

 この「一つ分の数」や「もとにする量」という考え方は、単位という概念を学ばせるためなんでしょうね。

 「かけ算の順番や単位の個を付け忘れて減点する先生はダメでしょ」という、アフィカス・ブロガの金の亡者ですら、一個あたりの価格「単価」や客一人当たりの売り上げ「客単価」をすごく気にします。彼らは、知らず知らずのうちに「算数的」な考え方を身につけていますが、それって、小学生2年生から習うことなんですよ。

自然科学の物理化学を学ぶ上でも「単位」は、基本中の基本ですから。

 単位は、その数値の意味を示します。g、m、N・m … 単位だけ追っていけば、どういう計算がされてきたのか?が、わかります。だから、式の順番と単位のルールを守って書かれていることが、とてもとても大切なのです。幸いにも、日本語には、古来から単位の概念があります。

 「単位」は、「国語」の領域ではありません。「算数」で習うものです。例えば、「匹」と「頭」で数える動物の大きさが分かります。古来日本語には、「匹」しかありませんでしたが、明治以降、馬や牛を数えるのに英語のheadから「頭」という単位が作られました。だから、馬や牛並に大きな動物は「頭」という単位で数えます。

 パソコンのコードを読み解くのと同じです。ルールをきちんと守って記述をしていれば、他の人が後から読んでもわかるんです。

大切なことなので、繰り返します。

「算数」は、リアル、現実社会で使う数を扱う方法を学びます。だから、単位と式の順番がとても大切ですし、割り切れない数字は、分数で表現したり、「余り」として出します。

 小学校では、「計算のルールと意味を習い、それを正しく実行する」ことを教えます。 

 例えば、小学校3年生以下では、今まで習ってきた計算のルール(手順・アルゴリズム)から、1.2+6.8=8.0 = 8 です。8.0ではありません。 小数点の概念は4年生で本格的に習いますから、これで良いのです。

「数学」は、ヴァーチャル、仮想空間で数を扱う学問です。物理学の理論を証明するためのツールとして発達したので、扱えない数字や次元はありません。代数学から始まりますから、x、y、z、円周率はπと英数文字を使った計算ができます。二乗したらマイナスになる虚数というあり得ない数字ですら使えます。

 物理化学に使いますから、近似値計算の有効数字も扱います。だから、1.2+6.8=8は間違いです。1.2+6.8=8.0でなければなりません。

 「こんなのどっちでも良いじゃん!」という親もいるでしょう。しかし、世の中には、(誤操作防止機能がない装置や道具など)厳密な手順を踏んで正確に操作しないと事故を起こして、人の命や非常に高価な施設や道具(原子力発電所、旅客機や新幹線とか) を失ってしまうことも、たくさんあるのです。そんな重要な任務を担う人材に育って欲しいからという願いを込めて、我が日本国国民の義務教育は作られているのです。

「数学」は物理学の表現手法の一つとして生まれ発達しました。

 その後「数学」として独立したジャンルを確立しましたが、物理学の一部であることに、かわりはありません。

 それが実感できたのは、ロシアの天才数学者 ペレルマン氏の業績です。

 数学の難問題として、ミレニアム懸賞問題というものがあります。そのうちの一つ、ポアンカレ予想の解決の糸口をペレルマン氏が発見しました。それは、世界中の数学者が、トポロジーを使って解こうとしていたポアンカレ予想という難問を、微分幾何学(古典数学)と熱膨張や収縮させるという熱力学(物理学)まで引っ張り出してきて、解けることが証明できることを突き止めました。

 つまり、数学を生み出した本家本元の物理学の理論まで持ち出したことで、100年解けなかった問題を解く方法を見つけたのです。

 一行で言えば、「100年解けなかった数学の難問も、視点を変えて、立場を変えて考えると解けた。」という、ことです。

 言い換えれば、「物理学にも精通していないと数学者として通用しないよ」という衝撃的な事件とも言えます。ここ百年、流行していたトポロジーの大先生達をディスったことになりますからw。

 今、ノーベル医学賞や物理学賞を日本人がもらっています。これは、二十年前、三十年前の仕事が評価されているに過ぎません。今の子供達、これからの子供達に、ノーベル賞がもらえる人が出続けることができるのか? は、親の教育にかかっているということですね。

2016年ノーベル物理学賞を受賞したマイケル・コステリッツ、デイビッド・サウレス、ダンカン・ホールデン博士

 「トポロジカル相転移とトポロジカル相の理論的発見」でノーベル物理学賞を受賞した三人は、数学で進化したトポロジーを使って、KT転移、量子ホール効果、ホールデン予想という理論物理学を発展させました。

 KT転移では、三次元では相転移が起きるけど、二次元の世界では相転移はおきるのか?ということをトポロジー(連続的に変形させても変わらない性質)を使ってエレガントに説明したことが評価されました。

 量子ホール効果では、半導体の中で起こっている二次元で量子の波の性質がねじれていることをトポロジーで説明しました。

 ホールデン効果は、量子の磁性の1次元の波がねじれているという性質を説明しました。もはや、このレベルになってくると、何がなんだかわかりませんけど(笑)。

航空機、宇宙開発、原子力発電…、我々の科学文明は物理・化学があるから実現できている。

 先日、小惑星探査機「はやぶさ2」は、地球スイングバイで、地球の周回軌道から、遠くにある小惑星に向けて出発しました。この「地球スイングバイ」、きちんとお子さんに説明できますか? 物理学を一通り習っていれば、説明ができるはずです。このはやぶさ2のスラスターやエンジン制御のタイミングは、基地から指令を送ります。そのための諸々の計算は、「数学」です。軌道計算に不可欠な円周率πも、小学校で習う「3ちょっとくらい?」という精度では、地球の周回軌道にすら乗せることが出来ません。

 しかし、今の若いお父さん、お母さんは、高校の時に物理学をほとんど学んでいません。大学に入っても、自然科学系の学部でないかぎり、基礎物理学と実習を履修しませんよね? そんなお父さん、お母さんがほんと増えました。

 算数と数学の違いも分からない。個とか単位なんか、関係無いだろ? みたいなことを平気で言うお父さんが、Twitterやブログで、ドヤ顔で、インターネッツで仕入れてきた付け焼き刃の知識を披露しています。「小学校で習う算数はー」みたいなことを平気でいえるほど、君は中学高校、まともに授業をうけていないだろう! と突っ込みたくなります。

 そんな人でも、「クリック単価がー」、「コンバージョン率がー」とか、「セミナーの参加者が100人になったから、安定収入を50万確保!」みたいな金儲けに直結することだけには、頭が回るようです。

 まじめに学校基礎教育を自ら受けていないクセに、「日本の教育は〜」とデタラメを文化人のごとく、簡単に流せる時代になったということです。 そんな、デタラメをやるヤツを信じて、金を払ってまで教えてもらうことはあるんでしょうか? 結局、勉強していない、だまされるヤツがバカを見る、嫌な時代になってしまいました。

医学 ≧ 工学 ← 理学(物理学=化学=生物学…>数学)>法学>>他教・文系

総合大学の学科におけるヒエラルキーについてすこし、余談として触れておきます。ちなみに、医学の世界では、「医学>薬学>看護学>>>歯学 」というヒエラルキー構造が存在します。

 学生時代、理学部の連中と酒を飲んだことがありました。

「数学って、物理学の中の一ジャンルじゃん? ってことは、物理学科の方が数学科より偉いってことだよね?」みたいなことを言って、場が凍り付いたのを覚えています。表向きは、アレでしたが、我々の業界にも暗黙的な立場の上下関係があるのと同じで、どの学問にもあるようです。

理学部の学科別の性格の傾向について、血液型と同じ、分類をしたこともあります。

 私の数少ない交友関係の経験上、物理学科の連中が一番穏やかな性格の人が多い気がします。もちろん、頭もめちゃくちゃ良い人でしたね。物理学科って、原子力やら、宇宙工学やら 国家の研究機関への就職を目指す人ばかりでしたから。

 で、一番えげつない人が多かったのが、化学です。「薬品のガスを吸いすぎて、ここがイカレとんちゃうか?」なんて、私は言いませんけど、友人の一人が言うてました。

 話が面白いのは地学科や生物学科に多かったかな? 好きが高じて っていう連中ばかりですからね。数学科は、ノーコメントです。後光が差すようなコも入れば、センスがないのに屁理屈ばかり言う人とか…。でも、彼のペンだこが凄かったのだけ覚えています。

そして結論を言っておきます。

 本来なら、中学に入って、算数を卒業し「数学」を学ぶのではなく、「物理化学」を学ばなければならないのです。「数学」は、物理化学で使う道具に過ぎないのですから。数学」は、電動ドライバー(公式とか)やペンチ、ノコギリと同じ、ただの道具なんです。道具の使い方だけ習っても、つまらないでしょ?

 それを使って自分の勉強机を作るとか、家のリフォームをするとか、それが「物理化学」にあたります。

 数学がつまらない、分からないのは、その先の本当の楽しみ、面白い事を知らないからです。その面白さを早く教えてあげてください。

 って、知らない、わからないから、やりたい仕事が見つからないとかいう人がいるんです。

 「数学」が受験の必須科目である理由は、物理、(分子)化学、生物学、地学、それらを実社会に応用する工学、統計学を使った金融工学…、ありとあらゆる分野で使う、もっとも重要な「道具」だからです。その子の能力を測るのに、客観的で絶対的な唯一無二のベンチマークなんですよ。

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